編集部(以下編) 執筆開始時にグーグルについて感じていたことはなんですか?
牧野 数年前から、仕事でも生活でも、グーグル検索がなくては成り立たないようになってきました。グーグルは、電気、ガス、水道と同じインフラのひとつになったという実感があります。 同時にグーグルは私の個人情報を集め、集積していっています。世の中の人はすべての個人情報をグーグルに握られてしまうのではないかという不安も感じます。 グーグルは世界をバラ色にしてくれる十字軍なのか、それとも世界を牛耳ろうとしている悪の商人なのか、そんな疑問をすっきりさせたいと思い、本書を執筆しました。
編 グーグルに関する本は多数発行されていますが、本書の特色はなんでしょうか?
牧野 従来のグーグル本にも素晴らしいものがたくさんありますが、ほとんどがグーグルの経営形態を「ベンチャー企業の究極形」という枠組みで捕らえています。 しかし、グーグルは従来の「企業」という枠組みとは違った集団なのではないかと思います。今までになかった考え方、発想で、ビジネスが行われ、経営されています。 この視点で捕らえた本は、私の知る限りなかったと思います。
編 本書をどんな人に読んでもらいたいですか?
牧野 日々、ビジネスをされていて、今の企業の枠組みに閉塞感を感じている人に読んでいただきたいです。 グーグルは従来の企業の枠組みを再定義していっていますが、それは軽やかに鮮やかに行われているわけではなく、汗をかきながら地道な努力をしていることがわかるはずです。
また、グーグルのサービスを何気なく使っている人にもできれば読んでいただきたい。「便利でタダだから使う」という気軽な行動の代償として、自分のプライバシーがどうなるのかを知っていただきたい。グーグルが悪の心をもったとしたら、世界は暗黒時代に突入してしまいます。
編 本書の執筆で苦労したことはどんなところですか。
牧野 グーグルに関する論評はあらゆるところで行われていますが、そのほとんどが「グーグルが高収益企業である、急成長企業である」というもので、ありていにいえば「大儲けしている企業だから語る価値がある」という文脈で語られていることを残念に思いました。 もはやグーグルは私たちの生活の一部です。であるなら、ただの優良企業という視点ではなく、私たちの生活の行く末に影響を与える大きなファクターとして語るべきだと思うのですが、そういう視点ではあまり語られていませんでした。 そのためのデータ集めや編集者との議論はなかなかタフなものとなりました。
編 執筆後にグーグルに対する見方は変わりましたか?
牧野 執筆前のグーグルのイメージは「力強い成長企業で、便利なサービスを無料で提供してくれる」という、頼りがいのある足長おじさんのようなものでしたが、執筆後には「グーグルの行く末が私たちの未来を決定する」と確信するようになりました。 もちろん、グーグルの行動いかんによっては、未来はパラダイスにもデスパラダイスにもなりえます。
消費者として、グーグルの行動を傍観しているのではなく、もっと積極的にグーグルの未来に関与していくべきだと思うようになりました。 企業と消費者の関係も、ただのお金と商品の交換という単純な図式から、新しい関わり方に変化していくのだと実感しています。
編 本日はどうもありがとうございました。 |