パッケージの開発は終了!Adobe CSはCC(Crative Cloud)へ移行し、グループ版によりお得な特別提供版が登場


本日(5月7日)、アドビ システムズからクリエイター向けの次世代サービスであるCrative Cloudの新しい発表がありました。月額で契約するサブスクリプション方式のCrative Cloudは、常に最新のアプリケーションやサービスを提供しているため、従来のように大々的にバージョンアップすることによってユーザーからアップグレード料金を得るというビジネスではありません。そのため、今までのように「CS6登場!」といったような発表そのものに意味がないのですが、今回は旧バージョンを含めたすべてのアドビユーザーに関わる内容です。それが、Adobe CS(Creative Suite)からAdobe CC(Crative Cloud)への完全移行です。

 

「Create Now MAX 2013 速報 スペシャルイベント」で壇上に立ったアドビ システムズ代表取締役社長クレイグ ティーゲル氏

 

今後のアドビのツールの開発およびその提供はすべてCCで行われることになりました。これに伴い、各アプリケーション名も「◯◯◯◯CS」から「◯◯◯◯CC」に変更されます。CS6のパッケージ/ライセンス販売はまだ継続するとのことですが、CSの開発や新バージョンのリリースが行われないということは遠からず終了となるでしょう。これまでメインだったパッケージ/ライセンス販売のビジネスをすべてサブスクリプションのビジネスに移行することになります。つまり、CS6よりも新しいアドビのツールはサブスクリプション以外では使用することができなくなります。以前からなんとなく噂になっていたり、アドビからも一部情報が流れていたので「いよいよ来たか」と覚悟されていた方も多かったと思いますが、既存のユーザーにとっても大変インパクトのある内容です。

 

アプリケーション名はすべてCSからCCに変更されます。ただし、CCが提供されてもCS6はそのまま利用することができる。

 

話を整理すると永続ライセンス版は以下のようになります。

 

◯CSは6で開発を終了し、今後は新バージョンはリリースしない
◯現在のCS6の販売は継続する(期間は未発表)
◯パッケージ版は在庫のみで終了
◯個人版はESD(電子ソフトウェアダウンロード)での販売
◯企業向けはTLP/CLPでのライセンス販売

 

ほぼ毎年行われてきたバージョンアップに支払うアップグレード料金を考えるとすべてのアプリケーションが常に最新の状態で利用できるCrative Cloudの年間支払額は決して高いものではありませんが、数年に一回バージョンアップしたり、あるいはアプリケーションをインストールしたマシンが壊れるまでバージョンアップをしないユーザーにとっては、ずっと支払い続けないとツールが利用できないサブスクリプション方式はどうしてもコストアップに感じてしまいます。また、印刷会社への入校作業をメインとしている出版関係の企業では、現在でもInDesign CS4形式でのデータの受け渡しが主流であり、大手の印刷会社はCS5形式の受け入れも開始していますが当分は状況が大きく変わることはないでしょう。Crative Cloudは、CCが登場してもCS6も継続して利用可能とのことですが、少なくともCS5から利用可能にならないと日本の特殊な印刷業界の事情では意味がありません。しかし、市場が熟成すればするほど新規で永続ライセンスを購入するユーザーは減り、インパクトの強い新機能の追加も難しくなるため、パッケージ/ライセンス販売およびバージョンアップによるビジネスではどうしても行き詰まってしまうことも確かです。

 

アドビは今回の発表の中で「世界が変わるのに合わせ、クリエイティブツールやサービスも変わらなければならない」と述べています。最新の制作環境を効率よく提供していくためには、Crative Cloudへの移行が必要であることは確かですが、時代に合わせた変革はアドビにとっても必要な時期に来ています。今回の発表は、ユーザーだけでなく、アドビにとっても生き残りをかけた大きな決断だと言えるでしょう。

 

なお、CCの提供は6月18日からとなっています。また、以下のプランが今回追加されました。

 

◯個人版
CS6のユーザーは、通常月額5000円(年間プラン)のところ初年度のみ月額2200円(年間プラン)で利用できる特別提供版を2013年7月31日申し込み分まで提供

◯単体サブスクリプション版
CS3以降のユーザーは、通常月額2200円(年間プラン)のところ初年度のみ月額1000円(年間プラン)で利用できる特別提供版を2013年7月31日申し込み分まで提供

◯学生・教職員向け版
通常月額4000円(年間プラン)のところ初年度のみ月額3000円(年間プラン)で利用できる特別提供版を2013年6月25日申し込み分まで提供

◯グループ版
CS3以降のユーザーは、通常月額7000円(adobe.comまたは販売代理店年間プラン)のところ初年度のみ月額4000円(年間プラン)で利用できる特別提供版を2013年8月31日申し込み分まで提供

 

グループ版に関しては、昨年末のサービス開始時点でCS3以降のユーザーは4月30日までに申し込めば月額5000円(年間プラン)という特別提供版が用意されていましたが、4月下旬の時点でこのサービスが2013年12月31日に延長されました。ところが、今回の発表で、同条件で2013年8月31日までの申し込み分については月額4000円(年間プラン)の特別提供版が新たに追加されました。特別提供版が複数あるように思ってしまいますが、要は8月末までは4000円、その後は12月末までは5000円と捉えておけばいいでしょう。残念ながら、すでに5000円で申し込みをしたユーザーに対して、返金や期間延長といった救済策はありませんが、新規でのシート追加は4000円で受け付けるということです。

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