将棋界の事件簿 現役プロ棋士の実話レポート
第1章 盤外騒然の激動期

 昭和40年代の棋士勢力図/記録席から見た棋士たち//連盟総会で名人戦契約金問題が議題/時代の節目となった昭和47年/九段昇段新規定は総合実績を評価/将棋連盟の総会は時間をかけて徹底論議/昭和49年通常総会は徹夜論議で閉会が午前4時/将棋会館建設を巡って水面下で大きな動き/大山、升田が手を組んだ臨時総会での政変劇/新理事会は前体制の方針どおり新会館建設を決定/囲碁名人戦契約金問題が将棋界にも波及/連盟と朝日の名人戦契約金交渉が決裂/名人戦契約決裂時の棋士の思いと人間模様/名人戦は毎日に復帰したが1年の空白に若手棋士が反発/毎日主催の「順位戦」が昭和52年から始まる/名人戦で打倒中原を公言した森が第1局で剃髪姿

第2章 大山時代から羽生世代

 大山全盛時代は対局場も大山ペースの仕切り/大山に対して敢然と立ち向かった山田/山田は現代棋界の研究システムの先駆者/山田が奇病によって36歳で急逝、絶局は大山戦/順位戦最終局での棋士たちの微妙な対局心理/米長流勝負哲学の原点となった大野八段戦/「尺進あって寸退なし」の原田将棋とその人生/昔の関西棋界と谷川の奨励会時代/内藤が歌手活動、デビュー曲『おゆき』は大ヒット/芹沢の「飲む打つ書く」人生とタレント活動/盤上の活躍がマスコミにも注目された真部四段/不世出の天才棋士・升田が昭和54年に引退/綺羅星のごとき昭和50年代後半の奨励会・研修会/平成に入り大山、升田の両巨頭が逝去/羽生人気の高まりで女性ファン急増、イベントも盛況/羽生七冠達成に日本中が注目、羽生効果で棋界隆盛

第3章 将棋界の仕組みと出来事

 昭和49年に女流棋士制度が発足、初代名人は蛸島/男性対女流の公式戦初対局で棋士人生をかけた高橋/蔵前国技館の土俵上で第1回将棋の日、観衆8000人/昭和56年からNHK杯戦が全棋士参加方式に/NHK杯戦の収録現場でのハプニング/異色の将棋ドラマ『煙が目にしみる』がNHKで放送/昭和58年の米長―谷川戦を契機に千日手規定が改正/昭和58年の対局中外出禁止令は背景にカンニング問題/大型棋戦の竜王戦が創設され新体系の賞金制に/連盟会長7期14年の大山が退任、二上新体制に/女流棋士・林葉の失踪騒動でマスコミ取材が過熱/林葉劇場第2幕は連盟退会、写真集出版、不倫告白/居飛車穴熊の元祖を巡って強豪アマが田中九段を提訴/懸案の順位戦制度改革に着手、有志棋士で論議/順位戦不参加でも現役続行のフリークラス棋士制度

第4章 プロ・アマ平手戦対局の変遷

 戦後まもない順位戦、九段戦に強豪アマが特別参加/将棋雑誌でプロ・アマ平手戦の企画/A級八段に平手で勝った小池アマにプロ入りの話/真剣師・小池重明の壮絶な無頼人生/小林朝日アマ名人が田丸らプロ棋士を4連破/南八段―小林アマの世紀の一戦に取材陣が殺到/プロ棋戦で好成績の瀬川アマに、特例でプロ編入試験/近年のプロ・アマ関係は対決から交流の時代に

第5章 わが修業時代の思い出

 将棋を覚えたきっかけは花札と大ヒット曲『王将』/有望な若い弟子が多い佐瀬一門に押しかけ入門/師匠宅で内弟子生活を送って将棋三昧/ほろ苦い青春の彷徨の末に四段昇段